秋の港で
スマイルひとつ。
例年恒例の秋の釣り。
子供と肩を並べての、のんびりとした休日の過ごし方。
川鱸 が嬉しくて、記事が前後しているけれど、
先々週の週末のお話・・・・・
女性陣は、友人に会う為他国へ旅立ち、つかの間の週末、自由人となった息子と私。
これはチャンスと、釣り遊びを企むのだけれど、
週末ごとに訪れる悪天候に、準備の傍ら天気予報と睨めっこ。
この状況下、土曜は無理な様子だが、日曜日なら行けそうだ。
早速、自由になった途端の金曜夜、二人して釣具屋へ。
ホントは琵琶湖へ行きたい様子もあったのだけど、
川の様子が気になる父と、食べられる魚を釣りたい息子との意見が合致。
例年恒例となる 秋の港で、サビキ釣り。
ここ数年の この釣行。
サビキ釣りをする傍ら、父はちょいの間エギでアオリイカをサクッと。
数少ない父の威厳を保つべくパフォーマンスの見せ所ではあったのだが、
今年は少し矛先が変わった。
釣具屋でサビキ仕掛のほかにこんなものを入手。
今回の釣り、父はルアーを封印とのこと。
エサ釣りに特化し、サビキだけでなく、新たなエサ釣りに挑戦する。と。
小学校も高学年になり、そろそろサビキ釣りだけではどうやら物足りないらしく、
今年の春には、琵琶湖でルアー釣りの愉しさを知ってしまった息子。
どうやら、これまでの釣りとは違ったことを企み、夢見ている様子で、
イメージとしてはこう。
①サビキで豆アジ(サビキ仕掛)
↓
②豆アジでアオリイカ(マメアジの泳がせ釣り:写真右の「イカワンタッチ」)
↓
③アオリイカのゲソで なんか大きな魚?。(写真中の投げ釣りセット)
↓
④そして嬉しくて笑顔に!(写真左の「スマイルウキ」セット)
と、食物連鎖をイメージした(?)、フィッシングプランなんだとか。
まぁ、それはそれで愉しそうだと、息子のプランに乗ることとした父なのだが、
本心は、早朝の川の様子が気が気でなかったのは悟られまいと必死。
午前中雨~午後は晴れ の土曜日を、
父:家事に仕事 息子:勉強にサッカー と、いつに無く手際よくこなし、
抜かりなくタックルを準備、少し早目に寝床に入りZZZ・・・・・
未だ暗い早朝起床、普段ではありえない素早さでの身支度に驚きながら、いざ。
向かう車窓は秋の景。
実り多き秋の味覚に、今日の釣果に期待膨らむ。
途中立ち寄る釣具屋で、エサのコマセとオキアミを入手し、更に北上。
が、ちょいと寄り道。川の様子が気になって。
少し遠回りをして立ち寄った川は、濁流と激流。
せっかくなので、安全確保し数投するが、私なんかに手も足も出るはずもなく、
速攻諦め 海を目指す。
昨夜からその道中まで、何所へ行こうかとあれやこれや。
出来ればプラン②まではなんとかしてやりたいと、親心。
更に幾つかの山を越え、トンネルを潜り、視界が開け海を一望・・・・・
・・・・・
眼下に広がる海を見て唖然。
前日までの台風による雨と風の影響の様子で、
吹き抜ける北風は、沖から陸へと容赦なく、望む入り江はドチャ濁りで波は荒い。
走りながら数箇所の様子を見てみるが、
風裏となる港でさえも、同じ様子。
既にプラン崩壊の兆しはあるが、ひとつの港に車を入れる。
少し荒れた海ではあるが、薄曇の中時折差す陽射しが柔らかく、
突堤の内向き中程に陣取り、のんびりとした秋の港での釣りが始まる。
既に手の掛らない年頃に差し掛かり、
何も言わずとも、準備を整え、早速釣りを始める姿に、
少し感心し、親バカっぷりを露呈しながら、
早速釣れてくれる豆アジは鈴なりで、自然と顔が綻び始める。
ここ数年の恒例となっている秋の(豆)アジ釣り。
例年釣果はそんなに芳しいわけではなく、試行錯誤の繰り返し。
だが今年は、時期・場所共に良かったのか、いやいや、釣れる釣れる。
多くは所謂豆アジなのだが、時折混ざる小アジの引きが小気味よい。
これだけ釣れると、早くも飽きてくるところがやっぱり子供で、
無謀にもこの父に勝負を挑んでくる。
「どちらが早く10匹を釣り上げるか勝負」
既に父のサビキ仕掛はエダスが1本の状況で、息子の仕掛けにはまだ5本。
そんな程度のハンデは当たり前と、始まった勝負。
序盤は、一度落す度毎に1尾を釣る父が一瞬リードするも、
一気に4尾を鈴なりに釣られ追いつかれる。
しかしながら、釣り上げてから、魚を外す手際の違いが功を成し、
その後は手抜きにもかかわらず圧勝。
少々大人気ないながらも、勝負の世界は厳しいのだ。
俄然燃えてきた息子は、更に次の勝負を提案してくる。
「一度落とした仕掛けに何匹掛るか勝負」
いやいや、父の仕掛けにはエダスが一本しかないんですが・・・・・・・
と、言う間もなく仕掛けを落とし、
一匹ずつ魚が掛るたびに重くなる竿先を見ながらニヤリと父を見る。
もちろん父は一尾。少年はピックアップの際に一尾がこぼれ三尾。
当然のことながら勝ったつもりでいるのだけれど、
父は100%、少年は60%と、トドメをひとつ差しておく。
そう、モノは考えようで、勝ち負けは決まることもあるのだ。
と、そんな遊びも交えながら、あっという間に数字は上り、
既に大漁、もう十分。
ブロック(小)のコマセも減って、さてさてここらでプラン変更。
しかしながら、外海の様子は変わりなく、時折波しぶきが飛んでくる。
当初のプランは諦めて、ここから始まるセカンドプラン。
こんなこともあろうかと入手しておいたオキアミ(中)を使っての釣りに転換。
父は浮き仕掛(スマイルウキセット)、
少年は下オモリに一本針の所謂ダウンショットリグにオキアミ付けて。
最初こそは少し手間取っていた様子であったのだけど、一尾を釣れば後は順調。
さすがにサビキのようには釣れないながら、
アタリを堪えてアワセを入れるってのが嬉しい様子で、
また、針一本というのが一対一で愉しい。と、
いっぱしの釣り人のようで、またしても親バカになりかける・・・・・
そんな中、一際大きなアタリと共にこれまでにない少しマシなロッドの食い込み。
いやいや本人は必死のようだが、愉しく傍観する父。
漁港にしては、まぁまぁサイズのカサゴを仕留め、少し鼻の穴が膨らむ息子。
既にアジがいっぱいだからと、海に帰すこととするそんな息子の心持ちを、
唐揚美味いよ・・・・、煮付けも美味いよ・・・・・と悪い大人な囁きをする父だが、
心折れる事無く海へ帰してやる少年の姿に、また親バカに・・・・・
とまぁ、その後も小アジと戯れ遊び、
釣りそのものを愉しみながら、秋の港でのひと時は過ぎる。
例年ならば、家で待つ者の為に時間に限りがあるのだけれど、
この週末は自由人。
自分からは納竿を告げないと決めた父は、少し肌寒くなった海風に吹かれながら、
一喜一憂する釣り少年に付き合うこととする。
他の釣り人たちも徐々に港を後にして、賑わいを見せていた突堤も少しずつ静かに。
少し陽が傾き始め、田舎の漁村に夕刻を告げる放送と音楽が流れた頃、
「そろそろ帰ろう」と釣り少年。
たくさんの釣果と、愉しかった今日の釣りに、随分とご満悦のスマイル。
もう何も言わずとも、道具をまとめる父の傍ら、
ごみを片付け、足元に水を撒くその姿に今日最大の親バカに。
愉しい秋の港でのひと時に別れを告げて、
時間にせっつかれることなくのんびりと家路を辿る。
が、帰宅後大きなひと仕事。
大漁なのは嬉しいのだけど、多くの魚の下処理が待っている。
(一応、私は豆アジと言えど、下処理をする事にしています。)
普段から、自分で釣り上げた魚は自ら捌き、料理することにしている父を見てか、
今日は僕も手伝う。と、車でひと寝した息子は元気。
それならば・・・・・
と、キッチンは豆アジ工場の様相で、男二人の工員による流れ作業が約2時間・・・・
お刺身好きな、息子の願いで、サイズのマシな小アジを三枚におろし、
少し強引にお刺身を拵え、
他の豆アジを今夜食べる分だけ、天麩羅、唐揚、南蛮漬け。と、
豆アジづくしの夕食を支度し、残りはきれいに並べて冷凍庫へ。
結局、まぁまぁいい時間にはなってしまったのだけど、
愉しい釣りと、美味しい食事に、
スマイルな秋のひと時。
のんびりと息子と過ごした、秋の一日。
こんな愉しいひと時も、素晴らしき釣りの贈り物。