はじめてのルアーフィッシング。
どこかの書籍にありそうなタイトルですが・・・・・
久しぶりの釣りを愉しんだ翌週末の土曜夜。
女性陣の居ない自宅にて、密かに企む男が二人。
週末の土曜日を、父仕事、息子はサッカーの試合、
女性陣は義実家へと、一家離散の一日を過ごし、
息子と二人きりの夕食の後、明日の休日の過ごし方をあれやこれやと。
女性陣を昼頃に迎えに行く口実で、
朝からどこかで釣りを愉しもうと、二人の意見は完全一致。
海まで出掛け、アジ釣り・イカ釣り。
若しくは琵琶湖でルアーを投げるか。
その辺りを思案している最中に、昼間の疲れか、息子はZZZ・・・・・
以前の記事にも記したけれど、
幼き頃よりこれまで、年に数度は一緒に愉しんできた息子との釣り遊び。
釣堀のニジマス釣りから始まって、
波止での豆アジ釣りや、田舎の小川での雑魚釣りなど。
そう言えば一度、琵琶湖の漁港でミミズを使ってブラックバス釣りをしたことも。
この時はルアーで釣る父親よりも大きいのを釣り上げ、
息子の鼻の穴が誇らしげに膨らんでいたのを思い出す。
と、これまでの釣りは全て餌釣り。
しかし今回は、悪い父親の影響をまともに受けてか、
ルアーで釣ってみたいんだとか。
そう、「はじめてのルアーフィッシング」
傍らで眠る息子を横目に、父は積まれた仕事を片付けながら、
明日のプランをあれやこれやと。
お陰で、休日の気の緩みも相まって、予想通りの朝寝坊。
待ちきれない息子に尻を叩かれ、いざ。
と言っても、既に明るい時間帯。
海までの道のりは時間がかかり過ぎ、実釣時間が最小限。
ここはやっぱり、琵琶湖までと。
昨夜、希に行うスピニングでの釣りの為の小さなボックスに、
一品二品ルアーを入れ替え用意した、ルアーボックスを手渡すと、
既に餌釣りとは一味違った愉しみを見つけたようで、
あれやこれやと質問攻め。
そんなやり取りも楽しみながら、車中で朝食を済ませ向かうは琵琶湖。
清々しい秋の陽射しが、湖面にキラキラと美しい。
どうせなら、釣らせてやりたい親心。
魚種に拘らず、とりあえず南湖へ到着。
既に色んな注意事項は、これまでも、向かう車中でも、
口を酸っぱくして伝えてきたが、水辺へ向うその道すがら、
再度確認、釣りを愉しむそのために。
少しのレクチャーの後、いざ。
不慣れなキャストながら、少しずつではあるけれど、
様になる様子を見ながら、私も少し振ってみる。
飛距離の違いに目を丸くする息子に、鼻の穴が膨らむ大人気ない父親。
しかし・・・・・そう簡単に釣れてくれる筈も無く、
覗く湖面も状況悪し。
少し移動を繰り返しながら、二人で探るが反応無く、
どうせなら、気持ちの良い場で釣りを愉しもうと、
一路北湖は湖西まで。
到着して程なく。
余所見をしていた父の袂に、僅かに伝わる慌しさ。
ふと目をやれば、竿が軽く曲がっている。
真剣な表情で苦闘する姿を見ながら、少しずつ歩み寄る。
そして、ルアーフィッシングでの初魚をその手に。
初めての魚が、ブラックではなくブルーだったのは、
変なところで父親に似たのか。
とにかく、親子共々嬉しい一魚に出逢うことができ感謝。
その後は、我慢ならない父親も、竿を片手に二人浜を釣り上がる。
前週の釣行とは様相異に、既に陽は高くとも時折湖面に溢れる生命感。
逃げ惑う小魚にそれを追う魚食魚の姿。
そんな中、息子に先を越された父親は、釣りたいルアーを一巡した後、
水面を割って出た一魚にたどり着く。
駆け寄り、羨望の眼差しを送る息子に、小さきながらも何とか面目を保つ父。
少しずつキャストも飛距離も定まり始め、
少ないながらも、あれやこれやとルアーを取っ替え引っ替えしながら、
「おっ」だとか「わわわ」だとか。
また、「あそこ行って見よう」だとか、「ここはアカン」だとか・・・・・・
既に昼前。残りの時間はあと僅か。
遠くに見える、あそこでやって帰ろうと指差す先は、実績場。
先行者が既に居なくなり、二人で入ることにする。
そこでの私の一投目。気持ちよく水面を割って、
そしてその次の一投でも、同様に。
数投後またしても割れた水面に、少し手ごたえのある魚信を感じ、
竿を息子に委ねてみたが、
見事、お約束のようにバラすのは、やっぱり変なとこだけ父親似。
この連発を目の当たりにした息子が、替えたルアーは小さなポッパー。
見よう見真似であれやこれやと。
そして遂に、寄せてきたポッパーに岸際数メートルで水面が割れる。
残念ながら、伝わった魚信は一瞬のものだったようだけれど、
本人大層お喜び。
気がつけば、とっくに時間はゆき過ぎて、
13:00。初めてのルアーフィッシング、竿を納めることにする。
行きの車中と異なって、少し言葉が少なげなのは、
膝に乗せた小さなルアーボックス、
少ないながらもそれぞれのルアーに手を伸ばし、
自分なりに、色んなことを感じていたのかは知らないけれど、
ぼそっと、
餌で豆アジ一杯釣るのも楽しいけど、
ルアーで釣るのもすごく楽しい。
中々釣れなくて難しいけど、
投げてるのだけでも楽しいし、
釣れた時嬉しいのはルアーの方が大きい。 と。
膝に乗せたルアーボックスは、
宝箱のように輝いて見えたことだと思う。
そんな息子の「はじめてのルアーフィッシング」に立ち会えて、
父の方がもっと嬉しい。と、心の中でつぶやいた。
この釣行以降、暇さえあれば、
小さなルアーボックスを開けては眺め、手にする日々。
さぁ、その箱持って、今度はどこで何釣ろう。