初冬の早朝に割れた水面
初冬の早朝に水面が割れた。
過日、三連休は最終日の釣り。
この連休には、竿が持てぬと諦めていたところ、
予定変更重なって、連休中日の夜、滋賀の義実家入り。
見上げた夜空、東にはオリオンが輝き、
無数に瞬く星達から、明日の好天を期待せずにはいられない。
眠ること数時間。
この季節、夜明けは遅く、未だ暗闇。
昨夜、東の空に見たオリオンは、既に西の山並みへ差し掛かり、
くっきりと輪郭を映し出す北斗七星にケンシロウを偲ぶ。
寒さに身を震わせながら、準備し車に乗り込むと、
薄っすら霜の下りたフロントガラスにワイパーがガリっと。
車載の外気温計を見て納得。
1℃。
この日の朝は各地で冷え込みが厳しく、氷点下を迎えた所もあった様子。
そんな、前日からの気温差約10度の初冬感じる早朝、
琵琶湖に向かって、いざ走り出す。
晴天無風ながら、湖面は少し波立ち、
頭上には満天の星空。
予期する時合いにはまだ少し早い。
ゆっくりとタックルを準備し、
ようやく誰もいない、久しぶりの浜にそっと降り立つ。
未だ朝を予感させない東の空。
この季節、実績のあるルアーを表層ただ巻き、まず数投。
しかしながら魚信を得る事無く、いくつかのルアーをローテーション。
何も反応を得られぬ時間が身体を冷やし、朝日の到来を待ちわびる。
05:30を過ぎ、ようやく訪れた朝の兆し。
すると、少し白みを帯び始めた東の空とは対照的な、
未だ真っ暗な北の空に、一筋の流れ星。
意外に長く尾を引く姿に、久しぶりに見た流れ星、
縁起が良いのか悪いのか・・・・・
ここからは、朝の到来が早い。
刻一刻とその様相を変える東の空。
美しき自然の情景。
明るくはなり始めたが、未だ陽は姿を見せず、
身に染みる寒さも限界に近付き、少し身体を動かそうと、
数日前の釣行の際、少し掴んだヒントを元にルアーを付け替える。
明るくなり始めるとともに、水鳥達も動きを見せ始め、
少し波立つ湖面に、ペンシルを投げ、踊り、滑らせる。
数投目。
流れ込みからの水が当たるエリアを掠めて滑るファットサム。
それまで静まり返っていた湖面が割れる。
同時に伝わる心地良き魚信。
追いアワセを入れ、始まる魚との力比べ、知恵比べ。
良く引き、横へ横へと良く走る。
いつもヤラかす、バラシの邪念を吹き飛ばし、獲ることに集中。
久しぶりの気持ちよき一本。
寒さも忘れて、感無量にアツくなる。
気がつけば、東の空から陽が差し始め、
今獲った一本と、美しき琵琶湖の朝日に暫し呆然。
振り向くと、西の山並みも朝日を浴びて紅く染まる。
更なる一魚を求めるが、残念以降は魚信無く。
たった一本の魚ながら、既に十分満足し、
一旦引き上げ、浜替えする。
数日前に訪れた浜。
少し確かめたいこともあって。
再スタートの第一投。
岸際で小さく水面が弾け、次の一投でも。
ルアーはFB-65balsa。
残念ながら、フッキングには至らなかったが、核心をひとつ手に入れた。
その後は少しルアーを替えながらあれやこれや。
しかし既に陽は高く、魚信も遠のき一旦納竿。
ここからは、ひとつのルアーに手を絞り、
延々と浜の散歩が始まる。
片道約2kmのいくつかの浜を縦断し往復。
既に朝と呼ぶ時間帯が過ぎ、見事な秋晴れの中、
少し汗ばみながら、時に観察、時に打つ。
釣果が欲しいと言うよりは、琵琶湖の状況確かめたくて。
そして、少々くたびれ、11:00納竿。
初冬の早朝に水面を割って出てくれた一魚に感謝。
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