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2011年08月10日

夏のアツイ一瞬


ほんの少し満たされた湖北釣行の続編。



もうひとつの、想いを遂げようと車を走らせた。

かねてより照準を合わせておいたあの場所へ。

でも、実際のところは、やってみなければ分からないのだが。


竿を振ることも無く、今シーズンを終えそうな気がしていたが、

これも、自然の流れ。と、少々言い訳がましく。

偶然か、必然か、その時はやって来る。



車を止めて、手ぶらで散策。そう、いつものように。

そんなふうに、新たなる扉を開ける鍵を探すため、

こんなことをいったい何度繰り返してきたことか・・・・・・

もちろん、先人達に比べると、へでもない数、距離なのだけれど・・・・・



そんな私の視界の末端。

水面が割れた瞬間を、珍しくも見逃さなかった。

明らかに、これまで釣り上げた魚とは違うその雰囲気に、気持ちが高ぶる。


少し気持ちを落ち着かせながら、車まで戻る。

鍵を探す散策は中断され、何時しかタックルの準備に取り掛かる。

紐と呼んでおかしくないその釣り糸を、

幾度と無く、結んでは解きを繰り返し練習したノットで結い、

いよいよ、初めて、投げることを決めた。



そう、今日の目的は、このタックルで投げること。

投げるだけであれば、別に、先程まで訪れていた琵琶湖でも良かったのだが、

実際そのつもりだったのだけれど・・・・・

そこは、やはり気持ちの持ちようというものが存在して。



先人達の言葉や教え、願いを繰り返し、頭に叩き込んだ多くの事柄。

自身、頭では理解し、繰り返し反芻し、準備も整えた。

あとは、現場で、多くを学び、考え、自らの身にする他は無い。



初めて現場において手にした、その竿は、

節操無く、様々な釣りを楽しむ私にとって、

これまでの、どの竿よりも重く、一本芯が通っている。

その重さが、この釣りを始める心持ちの重さであり、

一本の芯の通った、潔い気持ちを生み出してくれる気がする。


そんなタックルを片手に、水辺へ向かう高揚感。

背の丈ほどある、葦を掻き分け水辺にそっと近寄った。

目前に広がる、植物に覆われた水辺。

生涯、忘れることの出来ない、一線を越える一投目。

その、重い棒を振りかざした。

・・・・・・・

見事に、身体が順応していない。

滑稽なその立ち振る舞いに、辺りには誰もいないが恥ずかしい。

タックルの、重さ、硬さ、長さ。リールの大きさや、ラインの太さ・・・・・

どれをとっても、これまでの釣りとは一線を画す、別次元。

少々戸惑いながらの悪戦苦闘。

難儀な釣りに足を踏み入れてしまったが、気持ちは更に高ぶっていく。


少しずつ、初めてのタックルに自身を合わせていくと、

次なる問いは、ルアーの動き。

はてはて、どう動かせば良いのやら、暗中模索のはじまり。

全くもって、なってはいないルアーの動きながら、

静と動、ポイントの濃度、周囲の状況などを自分なりに組み立ててみる。

そんなふうに、困惑を楽しんでいると・・・・・・


バフッ!


いきなり、である。

自分自身、信じられない事象・・・・・

分かりやすい言葉を使うと、

目が点。そのものの状況。

一瞬固まった私の身体とは裏腹に、

チキンなハートは最高潮。

もう、充分。


タックルになれるための、ものの試し。

そんな、安易な気持ちだけで水際に立ったわけではないが、まさかの捕食。

もちろん、アタックのみに終ったが、その、感動的な一瞬に心が奪われた。


我に返り、抑え切れない欲望のままにもう数投。

パフンッ!

豪快な捕食音が響いた瞬間、ルアーが空中に舞う。

・・・・・・・

一度ならず、二度までも。

まさに、感無量。



多くの先人達が、日々奮闘し、

守ろうとしている現状と、築こうとしている未来。

この瞬間、未熟ながらもその理由の片鱗を垣間見、感じた気がした。



既に気持ちは十二分に満たされ、その場から離れた。

後は、竿を置き、そのフィールドをひと通り見て回る、散策に時間を費やし納竿。



短時間ではあるけれど、初めての試み。

右も左も分からず、見よう見真似の暗中模索。

そんな状況ながら、憧れの魚からのメッセージ。

正直、響いた。


釣りで感動することに久しい昨今。

無理やり精神性を説き、心の充足をその部分で求め、

補うことが多くなってきつつある。

が、純粋に釣りの感動がそこにあった。



新たなる扉。既に開かれ、その一歩を踏み出した。

これからも、多くを学び、多くを感じ、

この、大切なモノを守り、築いてゆきたいと、そう想う。

夏のアツイ一瞬








タグ :釣行記憧魚

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Posted by 京都釣組 at 18:18│Comments(4)憧魚
この記事へのコメント
おー、続編待っておりました!

開けてしまいましたね、新たな扉を。
でも、初手から雷さまのコンタクトがあるなんて素敵です。

> 暗中模索
↑↑↑
私、釣りに関してはこの言葉大好きです。
結果のプロセスに辿り着くまでの手探り状態がいいですよね。
頑張って下さい。
Posted by Abah at 2011年08月10日 20:00
⇒Abahさん。

いつも有難う御座います。

開けてしまった、新たな扉。
暗中模索がこれから先 随分永く続きそうですが、
一番楽しい時なのかも知れません。
ゆっくりと、じっくりと取り組んでいきたいと思います。

扉を開けると、その向こうにまた新しい扉・・・・
何時までも続く、新たな扉。
止まることを知らない釣り人の飽くなき欲求。
いやいや、困ったものですね・・・・・
Posted by くろぼう at 2011年08月10日 22:15
初めまして。
plus-line と申します。

今回の記事を読ませていただいた事により、初めてライギョを釣った事を思い出させていただきました。

その時は釣ったというよりも、ビックリ合わせで釣れてしまっただけなんですが ・・・ 。

この時の自分の心境がまさにこの記事の内容と同じものでした。

釣れなくてもアタックが二回もあればその日は既にお腹がいっぱい。


現在でもそんな釣りに憧れ、模索している今日この頃です。
Posted by plus-lineplus-line at 2011年08月11日 17:33
⇒plus-lineさん。

はじめまして。
コメントを頂き、どうも有難う御座います。

拙い私の釣行が、読んでいただいた方の、
良き思い出を呼び起こしたこと、とても嬉しく感じています。

初めて釣れるのはいつになることか分かりませんが、
今回の釣行で得た感動、この先も大切にしていきたいと思います。
これからも一つ一つが、いい思い出になるような、
そんな釣行を重ねていければと、日々精進するばかりです。

plus-lineさんにおかれましても、良き釣行、釣運を。
Posted by くろぼう at 2011年08月11日 20:08
 
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