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2011年12月08日

父と子と釣りと / 後編


父と子と釣りと

父と子と釣りと / 後編



サビキで釣る、(豆)アジ。


釣りを知らない方々や、女性、子供にとって、

最も簡単に魚を手にすることが出来、愉しむことのできる釣りのひとつ。

狙う魚はアジ(豆~小アジ)だけど、それだけでなく、

小さいながらも真鯛や黒鯛、石鯛をはじめ、他の様々な魚たちとも出逢え、

また、小アジは調理も簡単、食べて美味しい。

そんなサビキでの豆アジ釣りだが・・・・・


依然として餌釣りビギナーの私にとって、意外に奥深いものもあると感じていたり。

どんな釣りでも同じように、ポイント選びがとても大切なこと。

季節や時合いも もちろん同様。

また、狙う魚の棚(泳層)や、他の魚との競合により、

そんな簡単なサビキ釣りでも、思うようにいかないことも。

そして、釣具に関しては、サビキ仕掛けの大きさ(号数)などによっては、

いやいや悲しい思いをしたことも。

この頃は、コマセのアミエビと針の大きさを合わせるなど、息子流の発見もあったり。

そんな、ポイントや、釣期、仕掛けなんかも、

これまで、息子との試行錯誤で愉しくやってきた。

今回の釣行も、本来11月の初旬を予定していたのは、

そんな二人の愉しい経験から。



が、やはり、少々時期が遅かったのか・・・・・


釣り始めた息子がまず手にしたのはグレ(メジナ)。

父と子と釣りと / 後編

足元を見ると、コマセに集まる魚の姿にアジは無く。

それでも、久しぶりに魚の引きを愉しみ、こぼれる笑顔は一丁前の釣り人のそれ。

一投ごとに、あれやこれやと試行錯誤が覗えるのが頼もしくもあり。

そんな兄を尻目に、父のサポートを受けながらも、

おにぎりを頬張り、本命のアジを釣ってしまうのは妹。

父と子と釣りと / 後編

このへん、小さくとも女子。なんとも、ちゃっかりしている。

普段は、お人形やぬいぐるみをかわいがる娘も、

魚のお目目が「かわいい」らしく、小さな手で優しく魚を扱ってくれる。

父と子と釣りと / 後編

そんなこんなをしているうちに、

兄の竿が、曲がる。

これまでの小魚とは少し違い、グングンッと小気味よく。

手助けを求める視線を跳ね除け、腕を組み、ただ見守るに徹する。

父と子と釣りと / 後編

何とか奮闘の末、獲った魚はやっぱりグレだが、この突堤にしては良いサイズ。

少し照れを感じる歳に差し掛かりながらも、ご満悦の一魚にこぼれる笑顔。

優しくリリースする時に「ありがと」と掛けた一声を父は聞き逃さない。

アジがあまり釣れず、グレと戯れている時間も過ぎ去り、

表層に回り始めたのは、秋よりひと回り大きくなったサヨリ。

すかさず狙いを定め、テンポよくサヨリを掛ける兄の姿はさすがだが、

いやいやバラシが多く、変なところで父に似る。

数匹をキープした後、サヨリの回遊も徐々に減り、

そこでようやく 父である私も少し竿を握ることに。

兄同様に居残るサヨリをバラシながらも、棚を探り、アジの居場所を探り当てると、

これまでの不釣が嘘のように、連投でアジを釣り上げ、面目を保つ。

父の威厳よろしく、二言三言アドバイスを。

少しアジが回ってきた様子で、ここからは、

飽きない程度に、ポツリポツリと二本の竿が交互に震える。

が、全盛期のように、鈴なりに、二連、三連とはいかず、単発。

サイズ的には、豆アジよりも少しばかり大きくはあるのだけれど。

それでも少しずつクーラーボックスは賑やかに。


愉しく緩やかに時間は流れ、曇天ながらも穏やかな気温。

元気にはしゃぐ子供達を見ながら、釣りの持つ違った愉しみを感じ。



徐々に少なくなったコマセを見、

まだまだ釣り足りない兄は、餌が勿体無いと、

いつの間にか、餌を使わず、仕掛けのみでキャストを繰り返し、

効率が悪いながらも、アジを釣り上げ、それに夢中。

妹は、残ったコマセでおままごとをはじめ、

てんやわんやの賑やかな突堤。

でも、それまでの曇天から、雲が切れ陽が射し、一瞬海が青くなる瞬間、

どちらからともなく、二人が声をそろえて

「きっれ~い!」と。

釣りだけでなく、そんな釣りのできる環境を愉しむわが子に感心。



初冬の日暮れは早い。

16:00を過ぎる頃には既に陽は傾き、

美しい夕日に、見惚れる父と子。

空になったペットボトル越しに夕日を見ると、

残った水滴に光が反射し、更にキラキラするらしく、

交互に夕日に感嘆している。

そんな二人を尻目に、後片付けをしながら、

少し残ったコマセをどうするのかと尋ねてみると、

海の魚にあげるのだと。

釣り持ち帰ることで、減ってしまった海の魚が、また増えるようにとのこと。

後片付けを手伝い、身の回りのゴミは自分達が出したものでなくとも、

抵抗無くゴミ袋に詰め込む姿。

言わずとも、最後に足元に水を流し、きれいに始末する姿。

算数や、国語、英語まで。行儀や礼儀、作法などその他諸々・・・・

覚えなくてはいけないことが、いっぱい いっぱいあって、

どれもきっと、これから大きくなる上で大事なことなんだろうけど、

他にも もっと大切なこともあって、

少しはそんなことが分ってくれているのかなと。



釣期のよい時であれば、100匹/時間はくだらないこの豆アジ釣り。

生憎、今日の釣果は芳しくなく、3時間足らずで、40に届かず。

釣り足りない気持ちもあるようだけど、食卓を賑やかにする分には事足りる。

釣りそのものは充分に愉しめ、満足した笑顔を向ける二人。


職業や、置かれた状況、境遇によって 人それぞれに違うかもしれないが、

父として、子に教えること、教えたいことは山ほどあり、

釣りを愉しむ、釣り人としても、

子に教えること、教えたいこともいっぱいあって、時には教わることもある。

そんな、かけがえのない、父と子と釣りと。

父と子と釣りと / 後編

笑顔に溢れる、釣り遊び。

釣りの本質は、この笑顔なのかもしれない。



日も暮れ、家路をたどる車中。

バックシートから、スースー(グゥーグゥー)と聞こえる寝息。

ルームミラー越しに見る、肩を寄せあい眠る兄妹。

この上ない、安心感と幸福感に包まれながら、

少し早いクリスマスプレゼントな一日を、

大人の私の方が貰ったような、そんな気がした。


数や、大きさにとらわれず、ただ純粋に釣りを愉しみ、

釣った喜びは、人を笑顔に。

釣りだけでなく、他の様々なものにも 純粋に向けられる視線。

普段の自身の釣りでは、決して感じ得ることのない、

幸福感に、感無量。



歳を重ねたいつの日か、

ハンチング帽を被った、とある親子のように、

琵琶湖の浜で、二人して魚を釣り上げ、

めいっぱいの笑顔でいられる事を夢想する。

















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Posted by 京都釣組 at 11:15│Comments(10)餌釣
この記事へのコメント
こんにちわ

上手く言えませんが

文章を目で追って行く内に鼻の奥がツーンとなってしまいましたよ…

子供さんの無邪気な姿が想像出来て微笑みました。


雨のせいでしょうか?
車窓の景色が霞んで見えます。



素敵な記事を有り難う御座いました。
Posted by 小次郎 at 2011年12月08日 13:11
⇒小次郎さん

こんばんは。

私は、小次郎さんから頂いたコメントで、胸が熱くなりましたよ…
かつての小次郎さんの記事でも、幾度か目頭が熱くなりましたが…

色んな人々、それぞれにある想い。
言葉や文字では言い表しきれず・・・・・
もう、言葉は要りませんね。

普段、子供の記事を書かなかった私ですが、
今回は、自身の気持ちの整理と、
読む当てのない子供達へのメッセージとして書きました。
お読み苦しい部分はあったかと思いますが、
ご一読頂き、有難う御座いました。
Posted by くろぼう at 2011年12月08日 17:17
こんばんは。
子どもの試行錯誤を後ろで見守る、
自分もわかっているのですがなかなか…。

お子さん達が苦心し、また愉しまれている
光景が目に浮かびます。
自分もムスコ、ムスメに勉強はもとより
大切な経験をいろいろとさせてやりたいと改めて感じました。

くろぼうさんのお子さんはくろぼうさん同様、
あったかいなぁって思いました。

下手なコメントですみません。
Posted by 赤い釣人赤い釣人 at 2011年12月08日 21:26
くろぼうさん、こんばんは。

後編楽しみにしておりました。
魚を手にしたお子さんの笑顔が本当に素敵ですね。

私もいつの時か…

子供と釣りに行きたいと思います。
Posted by robo at 2011年12月08日 22:46
こんばんは。

釣りを通して親子でいい時間を共有できてますね!
素晴らしいです。

小次郎さん宛てのコメントで書かれてた
「読む当てのない子供達へのメッセージ」
これって本当に共感できます。

そういえば、お兄ちゃんのフローティングベストが
私の息子とお揃いです!
子供にしては変わっており、紫が好きで真っ先に
紫を選んでましたw
Posted by アバー at 2011年12月08日 23:52
⇒赤い釣人さん

おはようございます。
いつもコメントを頂き、ありがとうございます。

子供の見守り方、難しいですね。
最近の子供達を見て、構われ過ぎに感じておりますが、
意外に私も口うるさくなってしまいます。

子供は日々成長し、少しずつ親から距離が離れてゆきますが、

それは当然な事でありながら、頼もしくもあり、寂しくもあり。
今という一瞬を大切にと感じております。

私同様に、時折冷酷でチビッコギャングな子供達に、
あったかいとのお言葉、ありがとうございます。
Posted by くろぼう at 2011年12月09日 09:40
⇒roboさん

おはようございます。
コメントを頂き、ありがとうございます。

いつの時か、が愉しみですね。
roboさんのお子さんであれば、いきなり大魚の予感が・・・・

それまでは、私達大人が、子供のように釣り遊びに興じておきましょう。
そう、いつも笑顔いっぱいに。
Posted by くろぼう at 2011年12月09日 09:46
⇒アバーさん

おはようございます。
いつもコメント頂きありがとうございます。

読む当てのない子供達へのメッセージ。
いつの日か、子供の目に留まることがあったなら、
鼻で笑われるかも知れませんが、
親となった頃には、少しは考えてくれるかも。
年老いた私に、
「親父!釣り行こうぜ!」と声掛けてくれるのも愉しみです。

ライトカラー好きの兄に対して、
妹は紫が好きで、更にはピンクも好きなんですが、
ふた昔前のヤ○キーのようで、行く末が少々心配です・・・・
Posted by くろぼう at 2011年12月09日 09:55
いきなりコメント失礼します。

桃源郷という煮え切らないブログをしています。。

618といいます。

618にも同じ歳くらいの息子、娘がいてまして今回の記事を読ませて頂き

教える事の大切さと、教えれる事の大事さを実感すると共に

618自身、子供達に対する観察力の無さを痛感しました。

この文章を読み、お子さんへの思いを感じながらも、くろぼうさんの姿勢を見習わなと姿勢を正される素晴らしい内容と文章に感激しました!
Posted by 618618 at 2011年12月09日 13:13
⇒618さん

はじめまして。
コメントを頂き、ありがとうございます。

「桃源郷」、いつも拝見しております。
皆さんで愉しく釣りをされている昨今の姿、特に印象的です。

人それぞれに、置かれた状況は違い、単なる私事に過ぎない
記事に、お褒めの言葉ありがとうございます。

でも、見習うほど大したモンではありません。
私は、ただ単純に、子供にはいつも笑っていて欲しいと願う、親バカに過ぎません。

釣りのポイントを探すように、自分流のお子さんとの良き接点を探して、キャストをキメて下さい。
きっと良いのが釣れますよ!
Posted by くろぼう at 2011年12月09日 14:27
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